相続とは迅速に行われるもの
多くの場合相続とは被相続人の死亡に伴って行われるものです。
相続手続きは死亡後すぐに行われ始めますし、相続放棄も被相続人の死亡に伴う相続が始まったことを知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。
このように基本的には被相続人の死によって相続がスタートすることになります。
もちろんわたしも将来的に親が亡くなってから相続をしていくことになるでしょう。
しかしながら時にはその被相続人がいないということがあるかもしれません。
特に被相続人が行方不明になっている場合などがそうです。
そんな時にはどのような扱いになるのでしょうか。
もし被相続人が長期間にわたって行方がわからなくなっている場合には、失踪宣告によって相続手続きを始めることができます。
失踪宣告とはある人について一定期間生死が不明となっている場合に、家庭裁判所がその人に対する宣告を行います。
そして、その人が死亡したと見なすというものです。
普通失踪と特別失踪
この失踪宣告には普通失踪と特別失踪というものがあります。
普通失踪とは、特別な理由がなく生死不明となった場合のことを指します。
特別失踪とは、戦地に赴いていたことや、沈没した船舶に乗船していたりして、死亡の原因となり得る危難に直面した場合。
そして、台風や地震など死亡する確率の高い個人的災難に遭遇した場合などがそれにあたります。
宣言をするには条件を満たした上で、家庭裁判所に申し立てをすることができます。
普通失踪の場合には消息を絶ったあと、少なくとも7年間生死が不明であること。
特別失踪の場合には危難がさってから少なくとも1年間消息が不明であること。
家庭裁判所は申し立てを受けると調査を行ったあと公示催告を行います。
公示催告の期間は普通失踪の場合6ヶ月以上、特別失踪の場合2ヶ月以上です。
失踪宣告が確定すると普通失踪の場合には期間満了時、特別失踪の場合には危難が去った時に死亡したとみなされます。
その後は通常通り相続手続きが行われることになるでしょう。
もちろんその後被相続人が生きていることが判明した場合、宣告を取り消さなければなりません。
取り消しを行なわなければ、その人は死んだ人となっているのです。
そうであっても被相続人が生きていることを知らずに財産の処分などを行ったのであればその手続きは有効であるとみなされることになります。
失踪宣告に関してはこのような手続きになっているのです。
残念ながら日本では地震や台風など様々な災害の影響によって被相続人が失踪しているということがありえます。
そんな時でも相続手続きを諦めることなく、失踪宣告などの手続きを利用していくようにしたいものです。