相続に関する規定を大きく覆した
先日2013年9月の最高裁判決で「非嫡出子の遺産相続分について、嫡出子の1/2に定めた民法の規定は、法の下の平等を保証した憲法14条1項に違反するもの」というかなり大きな違憲判決が出されました。
これは、かなり長年に渡って日本国内で適用されてきた相続に関する規定を大きく覆すものです。
相続規定については民法900条で定められていたのですが、そこでは正式な結婚をしていない男女の間に生まれた非嫡出子と、結婚をしているときに生まれた嫡出子とで相続分に大きな違いを設けるようにしていました。
この相続規定については憲法との関係でかなり矛盾があるものと多くのところで議論をされてきた経緯があるのですが、ここにきてようやく公式に認めるに至ったということでしょう。
この最高裁判決は審理に参加した14人の裁判官が全員一致で結論を出したというふうに伝えられているので、かなり議論は徹底的になされた結果であるというふうにとれます。
なぜ長年議論はされてきたのに実際に違憲であるというふうに結論されることがなかったかというと、それは嫡出子を保護することは婚姻制度を保護することにつながるという意識を国会議員が多く持っていたためです。
婚外子も家族という風潮
婚姻制度を尊重・保護をしないということはすなわち家族という国民の単位を壊すことにもつながるというふうに保守派議員が口にするようなこともあり、非嫡出子への差別よりも現存する家族制度を守る方が大切というふうに考える人が多かったということがこれまで議論を表に出させないようにしてきた要因と言えます。
しかし現在では世界全体の傾向として嫡出子と非嫡出子の相続に差別をむしろつけないようにするということの方が主流の考え方になっていることや、国民感情的にも差別をなくした方がよいという意識が高まってきたことにより、今回の民法改正手続きにつながりました。
非嫡出子は相続分のみでなく、社会的にあらゆる部分で嫡出子に比べて差別を受けることも多く、今回の民法改正によって他の部分でも身分的な差異がなくなっていくことが期待できます。
ただしこの規定は改正されることで過去の相続分についてすべて適用されるのではなく、将来的に発生する相続においてのみ行われるものとしています。
本音の部分でどう思っているかについては、かなり個人の間で意見が割れそうな問題です。
ですが個人的にはここまで大きな動きがあること自体が、国家制度の大きな変動を感じさせるものに思えます。