どのようなものかわかりますか?
相続は基本的には亡くなった人が所有していた財産全般についてできるものですが、財産の種類の中には相続対象とはならないものも含まれています。
相続財産の代表的なものは不動産や現金などですが、他にも株式や社債といった金融証券、ゴルフ会員権や美術品のように財産的価値のあるものなどが挙げられます。
資産以外にも借金や買掛金、未払金や支払うべき税金など負債となる部分についても単純相続をするときにはかならず受け継がれるものとなっています。
個人の所有する権利は相続できない
反対に相続できないものとしては、その人個人が所有していた「権利」が挙げられます。
具体的には、第三者から好意で受けていた特別な権利のようなもので、破格の価格や無償で借り受けていた住宅や土地、委任状の地位などがこれにあたります。
簡単に例を挙げれば、父親が古い友人からタダでアパートの一室に住まわせてもらっていたからといって、父親の死後息子も同じように無償でそこに住まわせてもらうことができるかどうかということは全く別の問題ということです。
同じように、雇用契約における地位や付与されていた権利、扶養請求権、恩給受給権といったものも一代限りで相続人が当然に承継することはできません。
こちらも実際の事例で言えば、父親がある会社である役職についていたからといって死後子供が全く同じ地位に就くことができるわけではありませんし、年金など行政的な保護を受けていた権利も子供が引き継ぐことはできません。
考えてみれば当たり前のことですが、きちんとそのあたりは分けて考えなければ相続という法律的な意味を見失ってしまうので気をつけたいところです。
特殊な扱いになる権利
しかし権利の中でもちょっと特殊な扱いとなるものとして「慰謝料の請求権」というものがあります。
これは故人が生前に何らかの法的な被害を他者から受けており、その金額を請求している(もしくはしようとしていた)ところで亡くなってしまったような場合です。
慰謝料の請求権も一見扶養請求権や恩給受給権のように金銭的なものを請求する権利ではありますが、この場合のみ特例として相続ができるようになっています。
判例では「故人が機会を与えられれば慰謝料を請求していたであろうと認められる場合」には、その請求権も相続人が継承することができるとしています。
ただし相続は必ずそうしなければいけないわけではなく、相続拒否をすることもできるので請求権があるからといって絶対にそれをしなくてはいけないことにはなりません。