相続の流れで最初にするべきこと
相続が発生して最初にするべき作業は、まず誰が相続人となるかを確定させるということです。
遺言書があるなしにかかわらず、被相続人からみて配偶者や直系卑属にあたる人は自動的に相続人としての権利を取得します。
もし配偶者や直系卑属がいない場合には、直系尊属や傍系血族などが相続人となるので、死亡時に家族がどのような構成になっているかをきちんと確認し相続権利者は誰になるかということをしっかりと確定させておきます。
ちなみに遺言書としてそれら法定相続人の他に特別に相続人として指定する人がいた場合にも同様に権利を取得するものとなっています。
遺言書の内容によっては法定相続人には相続させずにすべての財産を別の指定した人に渡すように指示があることもありますが、その場合であっても法定相続人は法定相続分として財産の一定割合は必ず受け取れるように規程されているので、自身の権利についてはきちんと把握し話し合いには参加していくようにしましょう。
相続財産目録とは
相続人が決定したら、次に作成するのが「相続財産目録」です。
「相続財産目録」とは、簡単に言えば遺産分割をされる前の被相続人が所有していた財産内容の一覧のことです。
目録を作成することにより相続税として国に収めるべき金額をある程度把握することができるので、それを除いた金額からそれぞれの相続人対しての分配を行っていくことになります。
気をつけたいのがこのときの「財産」とは必ずしもプラスの財産部分だけを示すものではなく、生前にしていた借金やその他返済の必要のある負債となるマイナスの財産についても同様に記載していくということです。
相続人となる人はその目録の内容をしっかりと精査することで、相続をするかしないか、また単純承認をするか限定承認にするかということを判断していく材料にします。
なお相続をするかしないかという判断(相続放棄)は、相続人となる人がそれぞれ判断をすることができますが、相続するとした場合にはそれを単純承認とするか限定承認とするかは相続人全員の意見の一致がなくてはならないことになっています。
相続財産目録の作成事項
「相続財産目録」の作成事項の具体的な例をいくつか挙げていきます。
まずプラスの財産として計上されるものとして、「本人名義の現金(預貯金・貸付金・売掛金)」のほか、本人名義の「不動産(土地・建物・農地・山林・借地権・抵当権など)」や「動産(自動車やバイク・家電製品・家具・絵画などの美術品・貴金属など)」「有価証券(株式・国債・社債・小切手・手形など)」といったものがまず挙げられます。
ほかにも特殊なものとして本人が所有していた権利である、著作権や商標権、特許権、意匠権といったものがあります。
なお生前にかけていた生命保険については、受取人が「法定相続人」となっていた場合にはそれぞれ相続人となる人が話し合いにより分配しますが、特別に誰かを受取人に指定していた場合にはその金額を法定相続分として請求することはできません。
反対にマイナスの財産として計上される項目としては、「借金」「買掛金」「未払い分のローン」「死亡年度の税金」といったものがあります。