1冊でまるごと手続きがわかる
近しい親族が亡くなったときには、死亡に関する手続きから葬儀の依頼、相続に関する話し合いなど様々な事務作業が発生してきます。
しかし人の死というものは誰にも予想ができるものではないため、多くの場合全く心の準備をしていなかった状態で対処をしなくてはいけません。
高齢の両親がいるという場合や既に病気によってある程度の余命を予告されているという時には、いつかはしなければいけないこととして事前に準備をしておくべきところなのですが、まだ存命のうちにそうした手続きをするのは気が引けることもあるでしょう。
そこでより手軽に事務作業の勘所を知ることができる本があると便利です。
相続や葬儀などに関する専門書というものはたくさん出ていますが、案外身近な人が亡くなったときという場面から一連の内容を説明するという本は少なかったりします。
ここ最近に出版された書籍の中で特に便利だと思ったのが、自由国民社から出版されている「身近な人が亡くなった後の手続きの全て」です。
この本は司法書士、税理士、社会保険労務士の三者による共著で、もし突然に身近な人が亡くなったらというところから時系列に従ってどういった方法をとっていくことになるかということを丁寧に説明しています。
各ページごとに要点がわかりやすくまとめてあり、知りたい項目だけを検索するというときにも非常に便利です。
誰がいつまでにするべきことなのかがわかる
相続や社会保障の手続きで面倒なのが全員がそれをしなければいけないというわけではなく、条件にあてはまる人にとってだけ必須であり、不要な人もいるということです。
また法的な手続きなどではしばしば一定期間内に手続きをしなければいけないと定められていることもあるので、きちんとスケジュールを確認しておかないと気づいた時には手続きできなくなってしまうこともあります。
そこでこの「身近な人が亡くなった後の手続きの全て」では、人が亡くなったときに必要になる手続きを「全員に必要な手続き」や「該当する方に必要な手続き」などといったように分類をし、さらにいつまでにそれをしなければいけないかを項目冒頭でわかるようにしています。
ですのでどんな手続が必要かということに加えて誰がいつまでにそれをしなくてはいけないかということがすぐにわかるので、事前にスケジュールを立てるときに役だちます。
法律手続きの他に例えば故人が経営する会社やお店がありそれを引き継ぎするというような場合などにはどういったことをしなくてはいけないかということもわかるようになっています。
亡くなった人の立場や家族関係によって必要な手続きはさまざまなので、まずは現状を整理する意味で自分と無関係と思える項目も含めて一通り読んでみるというのがおすすめです。
最も面倒なのが相続税に関する手続き
相続に関する手続きの中でも特に煩雑になりがちなのが相続税に関するものです。
相続をするときには亡くなった人が所有をしていた財産や負債を全てまとめ、そこから法定相続分をもとに分割をしていくことになります。
財産が全て現金のみであれば全く面倒はないのですが、高齢で会社経営などされていた人になってくると、名義を登記している土地や建物、その他の動産など多数のものまでが対象になってきます。
複数の相続人がいる場合には誰にどのくらいの割合で分割をするかということでももめごとが起こりやすく、完全に全員が納得できる公平な分配方法ができることはまれです。
そこでまずどういった財産が相続の対象となっており、どういった計算方法をすればよいのかということを考えていきます。
さらに財産として相続されたものについて相続税がかかってきてしまうので、その申請をするための方法も調べる必要があります。
この本ではそうした手続きの種類や期限だけでなく、実際の提出書類の書式にしたがった記載方法までも丁寧に解説されていて非常に重宝します。
今すぐ身近な人が亡くなったという人以外にも自分自身が亡くなった場合の手続きについても考えることができるので一冊手許においておくことをおすすめします。