相続財産として賃貸物件を引き継ぐ人の必読本
「大家業を引き継ぐあなたへ」は、節税対策や老後の収入として不動産投資を生前に行っていた人が亡くなった場合、それを引き継ぐ配偶者や子供はどういったことに気をつけるべきかということを詳しくまとめてくれている本です。
2015年からの相続税増税以前から、不動産資産を所有しておくということは有効な相続税対策として広く税理士や不動産コンサルタントから推奨されてきました。
また老後の資金に不安があるという人たちが、会社をやめてから不動産物件を持って運営に乗り出すということもここ最近の資産運用方法としてかなり人気が高く、駅前などの一等地になると数多くの新築マンション・アパートが建築されるようになっています。
問題はそうして本人が運営してきた賃貸物件が死亡によりオーナー不在となってしまった時で、その場合自宅の土地や建物のように売却をしてそれを相続人で分割するといった簡単な処分をすることができません。
入居している人たちに対してどういった対応をとるべきかといった責任も生じてくるので、実際に相続が発生する前に身内がアパート経営をしている人はぜひ読んでおいてもらいたいところです。
リスク回避のためにはしっかり遺言書を作成しておく
既にアパート経営に協力をしている相続人がいる場合ならばそれほど問題はないのですが、一番困るのが本人以外がアパート経営に全く興味がなく管理を引き継ぐつもりがないというような場合です。
当面の家賃収入は欲しいけれども、物件が10年~20年と経過して老朽化した時にどういった対応をするか全く考えていないというような二代目オーナーさんもかなりたくさんいるのが実情です。
また一見簡単そうに見えるアパート経営も実はオーナーさんの手腕が非常に重要で、相続はしたものの途端に空き室が増えていってしまうということもあります。
この本ではそうしたオーナー交代によるリスクを下げるため、相続が発生した場合の管理人の引き継ぎや財産分の分与方法について遺言書を作成しておくことを推奨しています。
賃貸アパートの運営はお金の問題だけでなくその地域の治安維持や入居者の生活の安定など社会的責任を伴うものなので、しっかり勉強の上もっともよい方法を探す手がかりとしてこの本はおすすめできます。