成年後見制度とは
成年後見制度は、高齢者を身内に持つ人にとっては非常に重要な制度と言えるでしょう。
近年では高齢者の認知症が大きな問題になっていますが、はっきり認知症として診断をされていない場合も、判断力が低下したことにより不要な品物を購入させられるといった事例が多く起こっています。
相続においてもこの成年後見制度は非常に重要になっており、生前にできる節税対策について本人に代わり管理できるようにしていくことが大切なのです。
成年後見制度が必要な人としては、認知症の他、知的障害や精神障害が発症しており、著しく判断能力が衰えてしまう場合があります。
基本的に判断能力の低下により、本人が不利な状況になることが考えられる場合には、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことができるようになっています。
相続に関連して成年後見人制度を申請する事例としては、「相続人間の遺産分割」や「相続人への名義変更」が主になっています。
成年後見人制度にも段階があり、成年後見人の他、保佐人や補助人のように、法律手続きすべてではなく部分的にサポートをする人を設置することができるようにもなっているのです。
成年後見人として選任される人は大抵は近い家族となっていますが、相続で親族間がもめていたり公平な管理手続きができないと思われる場合は、弁護士など第三者が選任されることもあります。
利用シーン、ポイント
身内の高齢者が判断能力を損なうほど老衰していくのを見るのはつらいものですが、できるだけ早めに選任をしておいた方がよい場合もあります。
そもそも成年後見人制度は、家庭裁判所に申請してから実際に選任されるようになるまで、どんなにスムーズに行っても約3ヶ月程度はかかってしまうからです。
選任に問題がある場合には、約6ヶ月近くかかってようやく認められるということもありますので、将来被相続人となる人が健康面に問題が生じた時などは、早めに申請をしておいた方がよいかもしれません。
ここ最近多く見られる事例として、老老介護のように夫婦がともに判断力が低下する状態にあることです。
その場合、先に亡くなるだろうと思われる人の配偶者にあらかじめ成年後見人制度をつけておくことにより、実際に相続が発生したときに速やかに手続にうつることができます。
ただ注意しておきたいのが、相続の場合身内の一部のみが成年後見人になると、自分の利益になるような処分方法を勝手に行うおそれがあるということです。
成年後見人になった人が自由に遺産分割ができるとなれば、明らかに利益相反にあたります。
ですので公平な分割をするのであれば、成年後見人として指定するのは第三者にしておく方が、トラブルが大きくなるのを防ぐことが可能です。