遺言書が偽造と疑われるケース
終活がブームになったことにより、かなり若い時期から自分の遺言書を作成しておく人も増えています。
しかし遺言書は民法でかなり細かく規定があり、法的効果のある遺言書として残すためにはきちんと調べておかなくてはいけません。
また遺言できる事項についても定めがあるので、法的効果があることとそうでないことを区別をし、きちんと自分の死後思うように実行されるよう、準備をしておくことが大切になります。
現在の法律では遺言書の種類として「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の三種類があります。
このうち「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」は行政書士など法律に詳しい公証人が立ち会って作成するものであるので、かなり確実な有効性があります。
公証人に依頼をして作成する場合は、その分の手数料や手続きのための費用がかかりますが、間違いなく遺言書を残したいという場合にはこちらを利用するとよいでしょう。
問題となるのは「自筆証書遺言」で、これは公証人など第三者に関係なく、自分だけで作成をすることができる遺言書です。
きちんと法律に定められる書式にのっとって作成されていればよいのですが、法律の専門家でもない素人が作成するものである場合、その正当性を担保することができず、偽物として扱われてしまうこともあります。
もし遺言書が偽造と認定された場合は、そこに記載されている内容はすべて無効となってしまいますので、間違いなく記載をするようにしましょう。
遺言書が提出されたときに、それが偽造である疑いがある時は、民法1004条の規定により家庭裁判所の検認を受けます。
この検認は未開封の状態で行うこととなっているので、もし家族が自筆証書遺言を発見したら、その場で開封せずに家庭裁判所に持ち込むようにしましょう。
偽物の特長、対策
遺言書として有効となるには、「被相続人が自筆ですべて記入すること」や「日付を明確に記すこと」「封がされていること」など、いくつかの条件に沿っていなければいけません。
記入方法が間違っていたり、動画撮影など別の方法で残した遺言は、法的効果のある遺言書として認められないのです。
一方で、書式や方式は正しくても偽造が疑われる場合もあるでしょう。
家庭裁判所の検認において偽造が疑われる時には、筆跡鑑定により本人の自筆であるかが確認されます。
過去の裁判例として、認知症患者や白内障患者であった被相続人が自筆で遺言書を作成しているのはおかしいとして偽造判定を受けたことがあります。
もし身内が死亡したあとに突然自筆証書遺言が発見されたという場合には、まずはしっかり家庭裁判所に検認を依頼するようにしましょう。
その時には証拠となる生前の筆跡がわかる文章や、病気の診断書を提出することにより正しく判定してもらえます。