再婚後に発生する相続のトラブル事例
民法により、法定相続人についてはかなり細かく規定があります。
そこでたびたび問題になることの一つが、いわゆる「連れ子」の相続です。
現行の法律で最も強い相続権を持つのは実子です。
婚姻中に生まれた子供や、未婚の母親が出産した子供に対して男性が認知をした場合など戸籍に「子」として記されている人は、その後どのように家族関係が変化してもずっと相続権を損なうことがありません。
しかし、実際の家族関係においては、実子よりも再婚後に一緒に生活するようになった連れ子と密接な関係を築くことも珍しくないでしょう。
法定相続人は「配偶者」と「血族相続人」となっていることから、再婚をした後に死亡した場合、再婚相手となる配偶者には相続権がありますが、連れ子には相続権は発生しません。
そのため長年一緒に生活をしてきた血の繋がりのない連れ子ではなく、相続財産は別に生活をしている過去の婚姻中に生まれた実子に渡されることになります。
連れ子の相続権の有無
実子の相続権は何らかの手続をしてもなくなるということはありません。
そこで連れ子に自分の相続財産を残したいという場合には、遺言書などによりその意思を示しておくことが重要になります。
しかし遺言書があっても法定相続人には遺留分減殺請求権があるので、必ずしも遺言書の通りに財産が分与されるとは限りませんし、さらにその遺言書に不備があった場合などは全く相続が受けられないということにもなるでしょう。
そこであらかじめ相続権を確実に残すための方法として、養子縁組をしておくということがあります。
養子縁組は民法809条に規定があり、これを行うことにより連れ子も実子同様の嫡出子としての身分を取得することができるようになるのです。
嫡出子としての身分が法律的に保障されていれば、仮に遺言書に何らかの問題があっても確実に相続権を主張することができますので、できるだけ早めに手続をしておくとよいでしょう。
相続する方法
養子縁組手続きは戸籍を管理している市区町村の窓口で受付をしています。
「養子縁組届」という書類があるので、そちらに必要事項を記入して提出することにより、その日から戸籍上の嫡出子の身分が得られるのです。
なお連れ子が15歳未満の場合は法定代理人が手続きを行うことができるとしており、代諾養子縁組として扱われます。
相続ということでなくとも、生前贈与として先に財産の一部を渡しておくというのも実務ではよくある方法です。
この場合、正確には「相続」ではなく「贈与」という契約になりますので、相続税ではなく贈与税としての課税対象になります。
一般的に贈与税は相続税よりも税率が高めに設定されているので、やはり確実に財産を残すということであれば、きちんと法的手続きをとっておくべきでしょう。