事例、音信不通な相続人いる時の対策
古いドラマや映画などで、ある日突然に代理人という人が訪れ莫大な遺産を相続することになった、というようなシーンが描かれることがよくありました。
そこまで大げさなものではないにしろ、相続の問題は非常に複雑であることから、ある日突然に全く予想もしていなかったところから相続の話が舞い込むということもあります。
しかしながら財産というのは必ずしもプラスの資産のみではなく、マイナスの負債であることもまたよくあります。
借金についても当然に相続の対象になりますので、相続権のある人はすべてそれを受けるかどうか手続きをしていかなければなりません。
相続にもいくつか種類があり「単純承認」「限定承認」「放棄」の3つから選ぶことになります。
相続は被相続人が死亡をした日(相続が発生した日)から3ヶ月以内に上記3つのうちいずれかを選択しなければなりません。
手続きをしないで放置をしていると自動的に単純承認扱いになってしまいますので、大きな負債やローンが残っている場合、それを自動的に相続人が引き受けなければならなくなります。
負債を相続したくない場合「相続放棄」の手続きをしますが、このときはプラス部分もマイナス部分もすべて完全に放棄することになります。
「限定承認」はプラス部分の範囲でマイナス部分を補填をし、残りの部分は放棄するという方法なので、債権者にとってはありがたいことでしょう。
しかしながらこの「限定承認」をするためには相続人全員が合意をしなければならないことになっているので、もし音信不通で連絡がとれないという状態になっていると「限定承認」をすることができません。
仮にプラス部分が多い相続であっても遺産分割協議は全員で行うことが基本になっているので、連絡がとれない人が一人でもいるといつまでも誰がどの相続をするかを決めることができなくなってしまいます。
連絡が取れないときの最終手段
連絡が取れない相続人がいる場合、まず最初に行うのは戸籍謄本の確認です。
他人が勝手に戸籍を見ることはできませんが、申請するのが家族であり相続といった事情があればすぐに調べることができます。
そこに記載されている住所をたどり連絡をつけていくことにより、大抵の場合は現在の居住地を見つけることができます。
仮に住所の移転がされていないとしても、手紙を出してみることで転送で連絡をつけられるかもしれません。
それでもどうしても居所がつかめないという場合には、不在者財産管理人を選任してその人を代理に分割協議を進めることができます。
そもそも生死も不明ということであれば失踪宣告を申し立てすることにより、それが認められれば本人は死亡したものとして協議を始めることが可能です。