オヤジの勉強日記 ~相続財産は難しい~

親の財産相続について、そろそろ真剣に考えることに。学習内容をここで記録していきます。似た立場の方々にも参考になれば幸いです。

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遺言控除とは

相続税の減税に繋がる遺言控除

「遺言控除」という言葉を最近耳にした、という人もいるのではないでしょうか。
これは政府が検討している税制改正の一つで、平成27年7月に平成29年からの実施を目指すとして政府与党から公表がありました。
しかしながら平成30年も後半に入った現在においても実際に法改正となったというニュースは聞かれておらず、それどころかいつの間にか話題から抜け落ちてしまったかのような印象もあります。

平成27年当時はかなり大きく取り上げられることがあり、法律関連業界ではその準備のための動きも見られていたのですが、結果的に実施に至る前に立ち消えになってしまったようにも思えます。

そんな「遺言控除」とはいかなるものであったかということから説明をすると、これは簡単にまとめれば「遺言書を作成しておけばそれだけで相続税が減税になる」という制度でした。

終活など自分の死後の財産管理について関心を持つ人は増えてきていますが、そこでその流れを促進する意味でより多くの人に遺言書の作成を促そう、というのが立法趣旨となっていました。

メリット・デメリット

そもそもとしてなぜこうした遺言書の促進がされるようになったかというと、家庭裁判所に持ち込まれる案件のうち、相続関連の事例が占める割合が非常に高くなっているということがあります。
相続に関する争いは解決のために非常に時間がかかるとともに、そのことがきっかけとなって家族の関係が非常に険悪になることがよくあるからです。

また、現行の法律では相続税の申告期間が相続開始の翌日から10ヶ月以内とされているので、家族間の争いが長期化してしまうと相続税の申告ができず、優遇措置が受けられないといった問題も起こってきます。

そこで相続について生前から考える機会を持ってもらうことや、速やかに相続に関する手続きができるようになるというのが「遺言控除」のメリットでした。
しかし遺言書があることにあまりにもインセンティブをもたせてしまうと、病気や事故などにより急死となったときに非常に重い負担が発生するというようなデメリットもあります。

制度の課題

制度においては、基礎控除分として3000万円+600万円×法定相続人の数が遺言による控除となることが決められていました。
しかし実際に遺言によってプラスの財産が発生する案件を詳しく見て見ると、平成22年度の統計では相続紛争のうち30.9%は1000万円以下の財産が対象です。

また、相続においては土地の名義変更もあり、そのための登録免許税が発生するなどがあるので、財産部分のみ基礎控除をつけても相続の実態にはあまり関係ないというふうにも言われています。
施行がいつになるかは不透明ですが、もう少し実務にあった制度設計が必要と言えるでしょう。